戸建ての資産価値は土地次第【注文住宅】

↑では、都内戸建ての資産価値の高さについて説明した。
なぜ都内なら高いのか?ポイントは「土地建物比率」である。

土地が良ければ全て良し

調べると以下グラフが出てくる。これを見て「戸建てって資産価値ないじゃん」と思うのは早計だ。
このグラフの戸建ては「建物のみ」であり、実際は「土地+建物」である。

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https://www.sumai1.com/sellers/market/age/

「土地+建物」の場合、以下のようなグラフ(図2)になる。土地は基本的に価値が一定のため、建物の価値が消滅した後は土地の価値が残り続ける形になる。そのため、戸建ての資産価値は土地に大きく依存する。

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https://www.renovation-hiroshima.co.jp

また、「木造は法定耐用年数的に20年で価値0になる」は昔の話で、築30~35年で0が今の主流だ。
実際、築20年の物件をSUUMOで見ると明らかに建物費用が含まれている。

現在では築20年で建物価格をゼロ円とするような乱暴な査定はほぼありません。(中略) 近年の戸建ての査定では、建物価格は「築30~35年」程度でゼロ円に達するという考え方が主流となっています。仮に経済的残存耐用年数を「30年」とした場合、中古戸建ての価格は以下の式で計算されます。
中古戸建ての価格 = 土地価格 + 新築価格 × (1 - 経過年数 ÷ 30年)

https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1111785

都内は土地比率が高い

戸建ての資産価値=「土地+建物」で、土地の価値が一定ということは、「価格のうち土地が占める割合」が肝になる。この「土地建物比率」はエリアにより傾向が異なる。

以下図は2021年時点であり、最新状況は全国・首都圏どちらも建築費+400万だが(土地は+50万)、最新状況で土地建築比率はちょうど首都圏4:6・地方3:7(大半が建物)だった。

ただ、私が実際に品川区で建てた家は土地5200万・建物2500万(+付帯工事費200万)なので7:3だ。
むしろ大半が土地である。都内3階建ては大体そんな感じだと思う。
地方は土地が安いので予算に余裕があり豪華な2階建て(大手ハウスメーカーとか)、都内は土地が高すぎて必然的にローコスト3階建て(地元の工務店)、といった印象を受ける。

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https://www.town-life.jp/home/media/land-included/

土地比率別シミュレーション

戸建てはなぜ土地建物比率が重要なのか?
それは土地の比率が資産価値に直結するからだ。

以下3パターンで価格下落率を比較してみる。
①土地比率7割(土地5200万・建物2500万) →都内戸建て想定
②土地比率4割(土地1500万・建物2500万) →地方戸建て想定
③土地比率2割(土地1000万・建物4000万) →田舎豪華戸建て想定
※建物は経済的残存耐用年数30年の価格計算式に基づく
※土地の価格は一定とする
※住宅ローンは35年元利均等返済

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①は土地の下支えにより下落率がぐっと抑えられている。30年経過後も目減りはたった3割だ。
「土地の価値が一定」という前提だが、むしろ都内は上昇してる(年平均+2~3%)ので現実的な予測かと思う。

②は同じ建物なのに価値が半減している。人口減が見込まれる地域は「土地の価値が一定」という前提が崩れるため、より下落する可能性もある。

資産価値が低いとオーバーローンの危機

また、注目すべきは「住宅ローン残高との兼ね合い」だ。
不動産における一番のリスクは「売れない(売ってもローンが残る)」だと思う。何らかの理由(リストラ・病気・離婚etc)で売却せざるを得ない場合に売却できないと本当に困る。そのリスク回避のために私は資産価値を最重要視している。

①は売却時にローンが残るリスクは少ないが、③はギリギリだ。厳密には下落率の傾きは一定ではないのでオーバーローンの場合もあるだろう。

最悪なケースは「ローン年収比率ギリギリのフルローンで、③のような土地比率が低い戸建てを購入すること」だ。手持ち資金があれば問題ないが、手持ち資金無しフルローンの低資産価値物件は相当リスキーである。

結論

戸建ての資産価値は、以下でほぼ決まる。
・土地建物比率
・その土地の価値

都内狭小住宅は総額の大半が土地なので、資産価値が高い。

土地比率が高いということは、木造建築という消耗品が占める割合が低い。極論、建物部分は資産価値にならない贅沢品だ。借金をして家具を買ってるようなものだ。一方、土地は実質的な貯金であり(税金や金利はかかるが)、いずれ換金できる。人口増が見込める需要のある土地を買って、建物は必要最低限にするのが、最も資産価値の高い家になる。

もちろん、資産性にこだわり過ぎて、居住性最悪の家になるのは本末転倒なので、バランスが大事だ。オプション地獄だけは気を付けよう(経験談)。

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